お水送り


3月12日に奈良東大寺二月堂で行われる「お水取り」に先がけて、毎年3月2日に行われる小浜市神宮寺の「お水送り」は、奈良と若狭が昔から深い関係にあったことを物語る歴史的な行事です。

 

奈良のお水取りが終わると春が来る。関西の人々は、毎年この春の兆しを待ちわびます。この奈良東大寺二月堂のお水取り(修ニ会の「お香水」汲み)は全国にも有名な春を告げる行事ですが、その「お香水」は、若狭鵜の瀬から10日間かけて奈良東大寺二月堂「若狭井」に届くといわれています。(両市は、この天平時代からの1,200年の歴史の輪廻により、昭和46年より姉妹都市盟約を締結しています。)

 

「お水送り」は午前11時、下根来八幡宮で営まれる山八神事から行事はスタート。神宮寺僧と神人がカシの葉に息を吹きかけ、手を交差させて後ろに投げます。これは、体内に宿った悪霊を振り払うためです。それから赤土をお神酒で練ったものをご祈祷してからなめて、残り土で柱に「山」と「八」の字を書き込みます。

 

午後1時からは神宮寺境内において弓打神事。紫の装束に身を包んだ氏子代表が古式にのっとり、30メートルほど離れた的に向けて弓を放ちます。

 

午後5時半ごろ、白装束の僧がホラ貝を吹きながら山門をくぐり入場します。

 

午後6時からお堂で修二会を営み、「だったん」の行へ。7メートルもあろうかと思われる巨大松明を「エイッ、エイッ」とのかけ声とともに振り回します。

いよいよ大護摩に火がともされると、炎が水面に燃え広がったようになります。住職が送水文を読み上げ、邪気払いをし、香水を遠敷川に流す。香水は10日後、奈良東大寺の「お水取り」で汲み上げられます。

 

<松明行列について>

・午後7時30分頃からの約2kmの松明行列には、市民、観光客の皆さんも手松明を購入して参加することができます。

・手松明はできるだけ事前にご予約ください。(当日ご購入用も若干ご用意しています。)

 

※注)お水送り準備等のため、2月15日から3月5日まで若狭神宮寺の拝観はできません。


お水送りとお水取り


 西暦710年、奈良に平城京が造られ、聖武天皇ご在位の752年春に、東大寺において国家を挙げての盛大な大仏開眼供養が行われました。若狭ゆかりの「良弁(ろうべん)僧正」が東大寺の初代別当(開祖)と言われています。

 

 若狭神宮寺に渡ってきたインドの僧「実忠(じっちゅう)」は、その後東大寺に二月堂を建立し、大仏開眼の2ヶ月前から(旧暦二月)天下世界の安寧を願い、14日間の「祈りの行法」を始められました。「修二会(しゅにえ)」と呼ばれるこの行の初日に、実忠和尚は「神名(じんめい)帳」を読み上げられ、日本国中の神々を招かれ行の加護と成就を請われたのですが、若狭の「遠敷(おにゅう)明神」だけが漁に夢中になって遅れ、3月12日、修二会もあと2日で終わるという夜中に現れました。遠敷明神は法会に大いに感じ、二月堂の御本尊にお供えする「閼伽水(あかすい)」(御香水)を献じられる約束をされ神通力を発揮されると地面をうがちわり、白と黒の2羽の鵜が飛び出て穴から清水が湧き出しました。若狭の根来(ねごり)白石の川淵より地下を潜って水を導かせたと伝えられます。

 

この湧水の場所は「若狭井」と名付けられ、川淵は「鵜の瀬」と呼ばれるようになり、古来より若狭と奈良は地下で結ばれていると信じられてきました。その閼伽水を汲み上げ本尊にお供えする儀式が、大和路に春を告げる神事「東大寺二月堂のお水取り」でありその神約を護り伝える行事が若狭小浜の「お水送り」なのです。


お水送りの流れ


11:00 

山八神事(やまはちしんじ)【見学不可】  

下根来八幡宮(しもねごりはちまんぐう)(手向山八幡宮)

下根来八幡宮の講坊において行われる祈願神事。

神宮寺別当職によってご祈願された「赤土」にお神酒を注ぎ練り、講衆の役頭二人が長床の日本の柱に「山」と「八」の字を牛王杖(ごおうつえ)で書きつけ、天下泰平、五穀豊穣、諸人の安楽を祈る儀式。

 

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13:00 

修二会(しゅにえ)[法華懺法]【見学不可】

神宮寺堂内

諸仏諸神を勧請し、人々の罪を懺悔し諸仏の加護と大慈悲を願いその利益か普く一切に及ぶ事を祈願する「法華経」を典拠とした法要。

 

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13:00過ぎ 

弓打ち神事【見学可】

神宮寺前庭

法華懺法に併せ手向山八幡六役の当役が怨霊魔事を退散させる二本の除魔矢を放ち、続いて弓道範士の四方祓いの射儀式が行われる。

 

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13:30 

奉納弓射大会【見学可】

神宮寺前庭

弓打ち神事に奉賛し各地の弓道諸家参加し魔を祓う弓射大会が催される。

 

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18:00頃 

修二会[薬師悔過法(やくしけかほう)]【見学不可】

神宮寺堂内

神々を招き「薬師如来(遠敷明神)」を本尊とする古来よりの神仏混淆の悔過(懺悔)行法。

この法会の利益は閼伽水(聖水)を無上の「香水」に変じ、過去世よりの罪障を滅し天下泰平・諸人安穏・五穀豊穣をもたらすと言われている。

 

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18:30 

修二会[達陀(だったん)]【見学可】

神宮寺堂内・境内庭

堂内法要の最後に至り八天(火天・水天・芥子天・楊枝天・鈴天・太刀天・法螺天)が影向し、火天は「達陀松明」を振り七里を結界し魔を祓い、水天は香水を散じ浄める独自の所作は奉じられる。

 

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19:00頃 

神宮寺大護摩法要(おおごまほうよう)【見学可】

神宮寺前庭

境内に設けられた大護摩壇を中心に修験者が斧の大事・法弓大事・宝剣大事を奉じ、水師の願文奉上を終え達陀の火による大護摩法要が奉修される。

 

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19:30過ぎ

松明行列【参加・見学可】

神宮寺〜鵜の瀬

大護摩の火は松明に移され、行会中に加持された「御香水」を護り大小千数百本の松明が1.8km上流の鵜の瀬へと荘厳な行列が続く。

 

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20:00過ぎ

鵜の瀬の大護摩供【見学可】

鵜の瀬

鵜の瀬に松明行列が到着し神主(こうどの)の四方祓いが修されると、松明の火は護摩壇に移され諸仏諸神を勧請し行会の満行と参拝者の諸願の込められた松明が炊き上げられる。

 

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20:30過ぎ

送水神事【見学可】

鵜の瀬

護摩壇の最火勢に至り行衆は鵜の瀬深淵近くに渡り、水師の送水文(そうすいもん)奉上、水切り神事が修され幽玄の中に「御香水」は淵の流れに注ぎ込まれ送水神事が厳修される。

 

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21:00過ぎ

立ち直会(なおらい)【見学可】

鵜の瀬

送水神事を終え元の護摩壇にもどり結願作法を修し最終の法螺音声とともに行事が終了すると、出仕者や参拝者一同にお神酒が授与される。