第2話 神宮寺編
【私の一番好きな道を辿り、不思議の寺.神宮寺へ至る】
お水送りが終わり春の彼岸がすぎると、春本番のように暖かい日差しが射し込む日が出てきます。そんな日には、思い立ったが吉日、手ぶらで神宮寺北門から本堂へ至る道を歩いてみましょう。
本堂前に直行せずに、まず北門前に立って眺めてみましょう。田畑の中にポツンとたたずむ山門の様子からは、往時の七道伽藍二十五坊が完備され、歴代朝廷の擁護の基に若狭の寺社の要的存在として繁栄した様子は伺い知ることができません。しかし、山門から本堂までの距離を考えると、壮大な建築物群がここに存在したであろう事を、うっすらと感じることができるような気がします。
さて歩き出してみましょう。あれっ、この感じは体験したことが ないぞと言うような、靴底に感じる何とも言えない土の軟らかさは、歩を進めるたびにある種の陶酔感にも似た感覚を与えてきます。用水のせせらぎや、萌えだしたばかりの若葉の緑は、普段のあくせくした自分を解き放ってくれるような優しさに満ちあふれています。あーのんびりした、良い時間を過ごせました。
最後に☆☆☆この道は、本当はあまり教えたくなかったんです。多くの人に踏み固められてしまうとまずいので、ゆっくり歩いてください。
あなたも、根来(ねごり)の神仏の谷で、自然と神仏の懐に抱かれてみませんか。今年もそんな季節がもうすぐそこまでやって来ています。 書:藤原 清次
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